TikTok Shop GMV Max広告とは?|実際の設定画面を元に活用方法を解説!


TikTokでショート動画やライブ配信を見ながら買い物を楽しめるTikTok Shop(TikTokショップ)は、新たな販売チャネルとしてEC事業者から注目されています。EC事業の伸長には広告の活用が必要不可欠ですが、TikTok Shopでは「GMV Max」という機能が広告配信において大きな役割を果たします。しかし「GMV Maxとは何なのか」、「これまでの広告ツールと何が違うのか」、「手動運用と比較して何が違うのか」など疑問を抱いている方も多いことでしょう。

そこで本記事ではTikTok ShopのGMV Maxについて、その概要と仕組み、海外での成功事例や運用のコツを解説いたします。TikTok Shopでの広告運用が不安な方や、GMV Maxについて詳しく知りたいという方はぜひ最後までご覧ください。

この記事の監修者
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EnterCommerce株式会社 代表取締役
村井宏海
EnterCommerce株式会社 代表取締役
村井宏海

学生時代にエンタメスタートアップの関西での事業立ち上げに参画。大学卒業後、楽天のECコンサルタントとして累計1,000社以上のEC事業支援に携わり、楽天賞を複数回受賞。その後、事業戦略部門でファッションEC事業立て直しプロジェクトに携わり、様々なプロジェクトを横断的にリード。17LIVE株式会社でライブコマース事業「HandsUP」の事業責任者として立ち上げから携わり、国内導入数No.1のライブコマースサービスへの成長を牽引。2024年末に退職し、ソーシャルコマースとライブコマースを支援するEnterCommerce株式会社を創業。

この記事で分かること
  • Product GMV MaxとLIVE GMV Maxの違い
  • GMV Maxを活用して売上を上げるコツ
  • GMV Max活用の成功事例

TikTok Shop(TikTokショップ) GMV Maxとは?

引用元:TikTokShop for Business

TikTok ShopのGMV Maxとは、TikTokアプリ内で買い物ができるEC機能「TikTok Shop」のGMV(流通取引総額)を拡大できる広告ソリューションです。広告の作成や配信、予算管理など広告にまつわるあらゆる機能がAIを活用したシステムで管理されています。

AIを活用した広告運用について、Google広告には「P-MAX」、Meta広告には「Advantage+」がありますが、このTikTok Shop版がGMV Maxです。

GMV Maxの最大の魅力は、TikTok Shop上での売上最大化のために、オーガニック投稿やアフィリエイト投稿、広告用のクリエイティブの中から、パフォーマンスの良いクリエイティブを自動で選択して、広告予算を配分し、配信してくれる点にあります。

更に、ブランドの認知が上がることでオーガニック投稿のいいね数や保存数が伸びたり、自社のECの訪問者数が伸びるなどの「ハロー効果」も期待できます。
TikTok Shop上での売上増とプラットフォームを横断したブランド認知増が狙えるのが最大の強みです。

TikTok Shopのそのほかの機能については以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。

TikTok Shop GMV Maxの機能と特徴を解説

TikTok Shop GMV Maxの機能と特徴を解説します。GMV Maxは「Product GMV Max」と「LIVE GMV Max」の2つで構成されています。

Product GMV Max

Product GMV Maxは「カート付きショート動画」の広告配信を管理する機能です。「おすすめフィード」「ショップタブ」「検索結果」などにおいて商品がユーザーの目に留まるように広告を最適化します。クリエイティブのフォーマットは「動画」、「静止画」に加えて、商品詳細ページの情報が記載された「商品カード」の3種類です。動画コンテンツに対する視聴者の視聴導線の分析と学習を自動で行い、目標ROIに基づいて広告の配信・停止・予算調整を行います。(出典:TikTok for Business

LIVE GMV Max

LIVE GMV Maxは「LIVE配信」の売上を最大化する機能です。LIVE配信中の「商品クリック」や「コメント」、「いいね」などの数をリアルタイムで分析し、「今、購入してくれる可能性が最も高いユーザー」を特定します。
そのユーザーに対して配信を表示することで、LIVE配信という限られた時間内での売上を最大化させます。(出典:TikTok for Business

GMV Maxキャンペーンの設定方法

キャンペーンの設定は非常に簡単です。

セラーセンター左側のメニュー内「ショップ広告」→「GMV Max広告を作成する」と進みます。

キャンペーンの詳細を入力します。

①Product GMV Maxの場合は「商品をプロモートする」を。LIVE GMV Maxの場合は「LIVEをプロモートする」を選択します。

②プロモートする商品を選択します。「すべての商品をプロモートする」を選択すると出品している商品全てが対象になります。

③ROI目標を入れましょう。過去の広告キャンペーンを参考に入れましょう。あまりに高すぎると予算消化が進まず、一方で低すぎると予算消化が進みすぎてしまいます。売れ行きと予算消化状況を見て調整しましょう。

こちらのROIは一般的な広告指標でいうROAS(広告費用対効果)と同じ計算で、売上 ÷ 投下広告費に基づいて算出されます。

④日次予算を入れます。

⑤使用するクリエイティブを選択します。デフォルトで「自動選択する」となっています。使用したくないクリエイティブがある場合には、除外しましょう。

また、自動選択だけでなく、手動選択も可能ですので自社でクリエイティブをコントロールしたい場合は手動選択を選びましょう。

⑥TikTok Shopが公式に毎月実施しているキャンペーンのタイミングで広告を掲出するかを選択出来ます。自社の商材特性や戦略を踏まえて選択しましょう。

公式キャンペーン時はインプレッションが伸びやすく、購入金額が伸びる傾向もあるので、機能をオンにするのを推奨します。

⑦配信スケジュールを入れます。⑥の設定とは関係なく設定が可能です。

⑧任意のキャンペーン名を入れてください。

⑨「公開」を押して完了です。

TikTok Shop GMV Maxで売上が伸びる4つの理由

続いて、TikTok Shop GMV Maxによって売上が拡大する理由を4つの視点から解説します。

1. トラフィック全体の分析と最適化

1つ目の理由は、ショップへのトラフィック全体の分析と最適化が可能であるという点です。AIがオーガニック投稿やアフィリエイト経由を含めた全体のトラフィックと売上を統合的に分析し、広告効果の最大化を図ります。ユーザーの流入経路を包括的に管理できる点がGMV Maxの持つ大きな特徴です。

これまでは、アカウント運用担当はオーガニック投稿の視聴者数・視聴者層・いいね数などを分析し、広告運用担当はCPAなどの広告成果を分析するというように、分業化されているのが一般的でした。
この体制の弊害としては、2部門間で異なるKPIを設定していることによる、予算配分の非効率化や、データやナレッジの共有不足、ブランドメッセージに一貫性がなくなるなどが挙げられます。GMV Maxであればこういった問題は起きにくくなっています。また、GMV Maxは、エンゲージメントの高いコンテンツをAIが自動で判断して、広告予算を配分します。仮に、非常にエンゲージメントの高いオーガニック投稿やクリエイター投稿があった場合は、この投稿に自動で広告予算を配分して、さらなる売上のアップを図ります。
また、広告用に用意したクリエイティブのエンゲージメントが高いと判断されれば、今後のオーガニック投稿に、この学びを活かすことも可能です。
そのためにも、クリエイターコラボを積極的に実施してたくさんのクリエイティブを取得しておくことが大切です。

クリエイターの活用方法に関してはこちらの記事で詳しく説明しています。

2. 広告作成・配信・予算管理の自動化

2つ目の理由は、動画や配信コンテンツの設定、広告の出稿・停止・予算調整などすべてが自動化されている点です。これらの作業を人為的に行うと運用負担が大きく、人的リソースを割かなければなりません。GMV MaxはTikTok Shop運用の簡素化とコスト削減に効果を発揮します。

商品のROI(投資対効果)と日次予算は推奨ROI・推奨予算という形で自動的に計算されます。それぞれ商品の収益額や過去の広告費用などから算出されます。広告の配信スケジュールはカレンダー形式でわかりやすく設定できます。

3. パーソナライズと導線最適化

理由の3つ目はパーソナライズと導線の最適化です。個々のユーザーの興味・行動データをAIがリアルタイムで学習し、「おすすめフィード」「検索結果」「ショップタブ」に広告を表示させます。詳細にパーソナライズされたコンテンツをユーザーに表示することで、購買導線の最適化と発見機会の最大化につながります。

TikTok Shopは従来の「検索型」ECと一線を画す「発見型」ECです。ユーザーが自ら検索して商品を探すのではなく、偶然視聴していた動画や配信の中で商品に興味を持つことから「発見型」と呼ばれています。TikTok Shopではユーザーの趣味・嗜好を分析し、潜在ニーズを持つユーザーに広告を見てもらうことが重要です。GMV Maxは広告をユーザーの目に触れさせて購買意欲を自然に喚起する力を持っています。

4. ROIや目標達成に応じた自動調整

最後の理由は、ROIや目標達成に応じて広告配信量を自動調整する点です。GMV Maxは、AIによる商品・LIVE配信単位でROIなどの数値目標を設定できます。この目標が未達となった場合は広告の配信量を自動調整するので、無駄な広告費を防ぎながら効率良く売上拡大を図れます。

TikTok Shop GMV Maxの成功例をご紹介

次にTikTok Shop GMV Maxの海外での成功例を2つ紹介します。

Freshly Cosmetics(スペイン)

Freshly Cosmeticsは天然成分由来の商品が人気の、スペインのコスメブランドです。TikTok ShopではGMV Maxを駆使して、コストを押さえつつ売上高の拡大に成功しました。GMV Maxによってアフィリエイターの動画コンテンツが大きく売上に貢献していることが判明したため、価格の異なる複数の商品をアフィリエイトコンテンツにて配信しました。

同社の施策が奏功し、売上は2,159%増加、ROIは411%向上しています。また、注文あたりのコストを90%削減するなど大きな効果が見られます。GMV Maxの優れた分析能力による成功例と言えます。(出典:TikTok for Business Success stories Freshly Cosmetics

Betterbrand(アメリカ)

Betterbrandはアメリカのヘルスケア・製薬会社です。同社はGMV Maxによって運用コストを削減しつつ、事業全体の売上向上に成功しています。商品ショッピング広告が購入意欲の高いユーザーにリーチしたことなどが要因です。

四半期で100万USDのGMVを達成しており、そのうち80%以上が広告によるものです。GMV Maxによるユーザーのパーソナライズが的確な広告表示につながり、省コストでの売上拡大を実現した好例と言えます。(出典:TikTok for Business Success stories Betterbrand

TikTok Shop GMV Max成果最大化のコツ

GMV Maxは、ただAIに任せっきりにすればよいという機能ではありません。この機能を活用してROIとGMVの改善・最大化を図るには、抑えるべきポイントがあります。

Product GMV Maxクリエイター作成動画の広告への利用

Product GMV Maxの効果を最大化するためには動画クリエイティブの準備が必須ですが、リソースの問題で自社ではやりきれない企業様も多いことと思います。

その場合、クリエイターコラボを活用することで効率良く動画を準備可能です。

サンプルを配布し、オープンコラボやターゲットコラボを行って、たくさんのクリエイターに動画を投稿してもらいましょう。
この中で、売上への貢献度が高いものを広告クリエイティブとして再利用可能です。

実際に、弊社の支援先企業様の多くでもクリエイター動画を元に広告配信を行なっていますが、既存ECチャネルとしてROIが非常に高いパフォーマンスとなっています。

クリエイターへ依頼する際には、クリエイターのアカウントを確認して、自社の世界観とマッチしているか確認しましょう。
また、フォロワー数1,000人以上でクリエイターコラボは実施可能ですが、影響力の大きさを考慮すると、フォロワー数5,000人以上で絞ることをおすすめします。
その他、クリエイターコラボについては以下の記事で詳しく解説しています。

LIVE GMV Max

LIVE配信に使える2種類の広告

LIVE配信に使用出来る広告は、「ライブショッピング広告」と「LIVE GMV Max」の2種類があります。

本記事では詳細な説明は割愛しますが、「ライブショッピング広告」は一般的な広告キャンペーンと同じく、目標CPMやCPCなどに基づいた課金が可能で、トラフィックの増大などに効果的です。まだTikTok内での認知度が高くないセラーにおすすめです。

一方、「LIVE GMV Max」は、売上最大化を目的とし、ROIの最適化に特化しています。

既にある程度のフォロワーがいたり、商品の知名度が高く、UGC動画がたくさん上がっている状態であれば、こちらがおすすめです。

実際に弊社の支援先企業様でもLIVE GMV Maxを使用して、ROI:1,000以上の実績を叩き出すなど、売上創出やトラフィック獲得において大きな貢献をしている広告です。ライブコマースを実施の際は本記事を参考に是非GMV Maxを活用してみましょう。

LIVE GMV Maxの活用方法

LIVE GMV Maxをうまく活用するために、いくつかポイントがあります。
まず、AIが効率よく学習できるよう、通常のライブショッピング広告の2〜3倍高い予算を設定しましょう。これにより、ライブという短い時間でAIが最適なユーザーを見つけ出すための十分な試行錯誤が可能になります。

また、過去のライブ配信実績に基づき、現実的なROI目標を設定しましょう。目標が高すぎると、AIが達成不可能と判断して広告の配信が抑制されてしまいます。過去の配信が3.0なのであれば、3.5に設定するなどの試行錯誤が必要です。

さらに、この機能は、既にライブコマースである程度の売上(過去7日間で約1,000ドル以上のGMV)を収めているアカウントで最も効果を発揮するため、上述の通り、ある程度のフォロワーが出来て、売上も上がっている状態で使用するのがおすすめです。

参照:TikTok ビジネスヘルプセンター

GMV Max活用の注意点

1つの広告アカウントに管理を集約する

GMV Maxを利用できるのは、Seller Centerで指定した広告アカウント1つだけです。
これには、AIの学習を最適化し、広告効果を最大化するためのTikTok側の意図が込められています。複数のチームや代理店が別々のアカウントで運用すると、データが分散し、AIの最適化精度が低下してしまいます。

効果を最大化するために、複数の部署や外部パートナーと連携している場合は、使用するアカウントを明確に定め、この点を共有しましょう。

既存広告が自動停止

GMV Maxでのキャンペーンを開始すると、その商品に関連する既存のVideoショッピング広告やProductショッピング広告は、すべてのアカウントで自動的に一時停止されます。
これはLIVE GMV Maxと既存のLIVEショッピング広告でも同様です。
また、GMV Maxキャンペーンが終了しても、停止された広告は自動では再開されず、手動で再度有効化する必要がある点にも注意が必要です。

まとめ

今回はTikTok Shopの広告ソリューション「GMV Max」について、その内容と仕組み、海外での活用事例や活用のコツをご紹介しました。GMV Maxはオーガニック投稿と広告の両方のトラフィックを検証し、GMVの最大化を図るシステムです。その仕組みはAIの高度な分析力と自動化によるもので、人的リソースに頼らない点が大きな特徴です。

ぜひ本記事を参考にGMV Maxを使いこなして、TikTok Shopでの売上規模拡大を目指しましょう。

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